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ワイン総合研究所  渡辺 正澄
 


「こんなに美味いエビのス−プは、今まで味わったことがない!」 こんなス−プとは、スペインの美しいカディス市(Cadiz)に住んでいた旧友のカルロス・ヒメネスの家を訪ねた時、彼のママがつくってくれた感動的においしかったス−プだ。 カディスは、丁度、鎌倉の先にある江の島のような島だが、かなり大きい。島と陸地の間には、鉄道や自動車を通す橋がある。シェリ−の産地ヘレス・デ・ラ・フロンテラからは、南西37キロほどの海岸沿いの小島である。 ( ス−プの作り方は本文の最後をご参照)

    甘味のある小エビと渋味のある大型エビ

海に近いこのカディスでは、幸いにも、採りたての小エビやロブスタ−などを、賞味できた。軽く塩茹でした小エビは、殻をむいて食べた。アミノ酸由来の甘味のあるこの小エビに、レモン汁とコショウをちょっぴりかけると、さっぱり系の辛口白ワインにはピッタリだ。 ところが体内に渋味のある乳酸や旨味のコハク酸を含む大型エビのロブスタ−の塩茹では、小エビで合ったような調味では全く合わない。大型エビには、多めにコショウやニンニク(こってり系:温旨系)や、溶かしたバタ−などをつけるか、マヨネ−ズに、たっぷりのニンニクを混ぜたアイオリ・ソ−スなどで調味して、やっと乳酸や樽熟してタンニン多めの白ワインと合せて素晴らしい味わいになる。つまり、大型エビは刺激味(温旨系)の多い調味にしなければ、乳酸やタンニンの多い樽熟白ワイン(中間系)には合わない。ロブスタ−は、スペインのシェリ−の産地では、乳酸を含む樽熟したフィノ・シェリ−に合わせていた。 ところで大型エビは、ブルガリアの白で乳酸を含む樽熟した高貴なシャルドネ・グラン・プリ にはピッタリと優雅に合うだろう。
なお、乳酸やコハク酸が体内に多く含まれる伊勢エビ(第1表)のニンニク・バタ−炒めも、上記の高貴な樽熟乳酸系のシャルドネ・グラン・プリ に合う。バタ−は、ワインの樽のタンニン(ポリフェノ−ル)や樽香との相性を一層優雅に高めるのだ。

    伊勢エビのバタ−炒めに合うワイン

そこで、前記の高貴で重厚なシャルドネ・グラン・ プリに合う例として伊勢海老のニンニク・バタ−炒め(2人分として)について確認してみた。この場合、フライパンに、オリ−ブ・オイル(50%)とバタ−(50%)を、大さじ2杯分量を加えて、ニンにク2かけらのみじん切り、鷹のつめの輪切りなどを適量加えて柔らかく加温した。ニンニクが黄色くなり始めたら、調理しておいた伊勢エビを加える。この場合、あらかじめ、伊勢エビ1匹の足と尻尾は、ハサミで切り落として除き、胴部は4個に切り分けて、塩・コショウして、オリ−ブ・オイル(50%)とバタ−(50%)で、素早く炒める。

さらに伊勢エビの頭部を潰した汁に、辛口白ワイン少々、塩、コショウ、レモン汁、バタ−を加えてソ−スにして、エビの胴部に振り、パセリ少々を散らして出来上がり。これと樽熟乳酸系白のシャルドネ・グラン・プリとのマリア−ジュ(相性)は、“エビ”ス顔になる素晴らしさだ!♪・・・ 同様に、ヴィラ・メルニック社のメルニック・ベルグ−レも味わい深く合えよう。


 

   

さて、ここで下記の表をご参考までに示す。ご覧のように、特にイセエビや車エビの乳酸とコハク酸の量の多さにご注目願いたい。

* :第1表 旬の時期の魚介類の有機酸含有量(mg / 100g)*
乳酸とコハク酸の分析値の大体を覚えると、ワインとの相性を考える時に役立つ表。

 種 類
ハマグリ
カキ
ハマチ
サバ
イセエビ
クルマエビ
 水分 (%)
87.5
77.0
65.6
72.0
77.6
79.2
 プロピオン酸
4.96
32.12
4.52
11.40
4.44
6.96
 酢 酸
8.94
25.26
6.76
9.06
4.26
5.16
 ピルビン 酸
8.10
7.84
13.91
10.04
7.40
6.60
 コハク 酸
79.83
59.14
238.95
15.12
26.55
5.90
 乳 酸
26.00
52.29
244.44
684.00
232.00
130.00
 シュウ 酸
9.12
3.12
2.55
 リンゴ 酸
4.62
2.84
 クエン酸
6.65
9.90


なお、小魚、小エビ、タコ、イカ などは、グリコ−ゲンが多めにあり、上記の有機酸含有量は非常に少ない。
文献:池田静徳:「魚介類の微量成分」、恒星社厚生閣版、1981
○ ワイン中の乳酸、リンゴ酸、酒石酸などは、調味料に含まれる上記の酸類と共に、ワインと料理の相性の上で重要な役割を演じている。ワイン、魚介類(動植物を含む)、調味料中の同じ酸同士は、勿論相性がよい。

    <冷凍むきエビの処理>

ここでは、大型エビではなく、簡単に入手できて調理作業も楽な冷凍むきエビ(グリコ−ゲンが多い) とワインの相性を調べよう。まず注意したいのは、エビは茹で過ぎると硬くなってまずくなることだ。 このことが、エビ料理のおいしさを大きく左右する。
エビを加熱するときにエビの身の中心部は、90℃位に火を通す程度にするとプリプリした食感があって美味しい。 文献: cookpad.com/search/

    <プリプリ・エビを作る>

ス−パ−で売っている冷凍むきえび1袋(150グラム)を、冷水で表面の氷を溶かし、エビの中身はまだ氷っている状態で、ペ−パ−タオルで余分な水分を除き、大さじ1杯のカタクリ粉を薄く混ぜる。直ぐに、ニンニク風味のオリ−ブ・オイルで強めに熱したフライパンに入れる。数十秒以内でエビの表面が軽く赤っぽくなったら、素早くフライパンから皿に移し、冷やしておいた下記の様々な野菜やフル−ツを混ぜて調味した後で、ワインとの相性を確認する。

    プリプリ ・ エビを使った料理
    1 、 プリプリ・エビと白ワイン 最もシンプルなエビ料理

すでにプリプリ・エビ(150グラム)まで調理したエビに、塩・コショウ、レモン汁を適量振る。この際、調味料は、合わせる白ワインの酸味や渋味(タンニン)に合うように、バランスよく、少しずつ適量を混ぜて調節しよう。
この調味によって、一番合うのは、なんといっても、辛口白でさわやかなリンゴ酸とほどよい量のタンニンのあるバッカス・シャルドネや、ホワイト・マヴルッドなどだ。
お客様と楽しむ
これだけでもおいしいが、お客様と共に楽しむときは、もう少し料理の見た感じを華やかにしたいものだ。この場合、役に立つのは、プチ・トマト、刻んだ大葉(4〜5枚)、ヴァジル、ケイパ−、塩、コショウ、オリ−ブ油などを混ぜて皿に華やかに盛る。こうすると、見た目も鮮やかな料理になる。これらは、もちろん料理全体として調和した味付けにすれば、おもてなしの時の満足感と共に楽しい雰囲気になってくる。

    2.プリプリ・エビと桃のサラダ(3〜4人):ファンタスティクな味わい!

さて、プリプリ・エビ(150グラム)に、市場にようやく 出回ってきた桃を加えてサラダを作った。桃1個は、香の高い部分の果皮を丁寧に洗い、種を避けて縦に3ミリの幅に切る。これらをさらに4切れに切る。すると、丁度エビと同じ位の大きさになる。

この切り分けた果皮付きの桃に、軽く適量の塩・コショウをして混ぜる。こうして作ったエビの桃のフル−ツ・サラダに、香りのよいブルガリアのバッカス・ムスカットやEM のムスカット・オットネルを合せてみた。すると、ナント!ナント!このエビの桃のサラダが、マスカットの香りとも相乗して、ファンタジックな風味が、口中から鼻の奥まで広がった。桃の果皮には、すばらしい香りが含まれているので捨てないことだ。

 

 
     3 . プリプリ・エビのマヨネ−ズ +トマト・ケチャップ(3〜4人分)

プリプリ・エビ(150グラム)、に、マヨネ−ズ(50%)トマトケチャップ(50%)を、適量混ぜたソ−スにからめて、さらにヴァジルの葉5枚を手でちぎって混ぜた。このソースの酸味、甘味、香りは、やはり香りのよいムスカットに合う。この場合、マヨネ−ズの代わりには、ヨ−グルドでもよい。ヨーグルドは、健康的で生き生きとした風味も心地よい。

    4.プリプリ・エビとアイオリ・ソ−ス(3〜4人分)

エビは、一般にニンニクとの相性も良い。そこで、マヨネ−ズ(80%)に、ニンニクの擦りおろし(20%)を混ぜた特製“アイオリ・ソ−ス”に、さらにパセリのみじん切り適量を混ぜた。プリプリ・エビ(150グラム)に、このアイオリ・ソ−ス・パセリ−風味を適量からませた。そして、ブルガリアの辛口白のシャルドネ、 ホワイト・マヴルッド、トラミナ−などと合せてみた。ワインの香りによって風味はいくらか異なっても、納得の味わいになって気分は、♪久し“プ−リ”!晴れた梅雨期!青い空♪
 

   
     エビのアヒージョ(3〜5人分)

中位のブラックタイガ−15匹の殻をむいて背ワタを除く。フライパンに、オリ−ブ・オイルをやや多めに、ニンニク3〜4片の刻み、赤トウガラシの輪切り5〜6個、塩・適量などを加えて、弱火で加熱する。ニンニクが黄色くなり始めたら、プチ・トマト、ピ−ラ−で薄切りにしたセロリ−(一口大に切る)、エリンギの輪切り適量を加えて、加熱する。最後にエビを加えて、すばやく加熱を止める。エビは余熱で充分である。加熱を続けるとエビは硬くなり旨くなくない。さて、上記のブラックタイガ−に合う白ワインは、ブルガリアの樽熟高級白のシャルドネ・グラン・プリや、ヴィラ・メルニックのベルグ−レなどで、いかが?・・・もちろん “エビ”ス顔 ♪・・・

エビのアヒ−ジョは、スイ−ト・チリ・ソ−スで赤ワインに!
エビのアヒ−ジョに、スイ−ト・チリ・ソ−スを、たっぷりかける。すると、このアヒ−ジョが、ピリ!とした刺激味に変わった。そこで、 バッカス・ カベルネ・ソ−ヴィニヨンと合せてみた。
すると刺激味が和み、カベルネ・ソ−ヴィニヨンと、ト。ト、ト、ト〜〜と合ってきた。
カベルネ・ソ−ヴィニョンのタンニンが、チリ−・ソ−スの刺激味を、包みこんでしまったのだ。
 

   
     エビフライ (4人分)

半解凍した中位のエビ8匹の殻をむき、背ワタを爪楊枝で除く。エビの腹部は、フォークで軽く切り込みを入れて加熱中に丸まらないようにしておく。ここで、衣を作るために、ボ−ルに、玉子1個、塩・コショウ適量加えて牛乳50 m、小麦粉50 g などの適量をよく混ぜる。これをパンコにくぐらせて固める。180℃のオリ−ブ・オイルできつね色になるまで素早く揚げた。そして、次の二つの実験をおこなった。
(1) このエビフライに、レモン汁を振りかけると、辛口白の白ワインに合う。 バッカスのシャルドネ、 ホワイト・マヴルッド、ソ-ヴィニヨン・ブランなどで、さっぱりと、おいしく合っていしい。
(2) このエビフライに、ウスタ−・ソ−ス(温旨系)をかけてみると、見事に赤ワインと合ってきた。
(3) さらに、高貴な甘口赤なら、ザグレウス社のノ−ブル・マブルッドと中濃ソ−ス(90%)にブル−・チ−ズ(10%)を混ぜたソ−スに、高貴にあったのである!

                 
   

最後に、本文初頭に述べた、スペインはカディスのおいしいエビ・ス−プのレシピ−を、掲載させて頂く。
ご高覧頂ければ幸いである

    スペインのカディス風エビのス−プ(3〜4人分)のレシピ−

<材料>
にんじん(1/2 本)、芝エビ(150g )、たまねぎ(1/2 個)、ブランデ−(大さじ1杯)、辛口白ワイン(200 mL) 、 ブイヨン(1000 ML)、パセリ(1枝)、ニンニク(適量)、フィノ・シェリ−(または、辛口白、大さじ2杯)、米(小さじ1杯)、ロ−リエ(2枚)、バタ−(大さじ3杯)。

     5 <スペインのカディス風エビのス−プの作り方>

にんじん、たまねぎは、薄切り 、 パセリは短く切り、 これらをタイム、コショウ、ロ−リエを加えてバタ−で軽く炒める。これにエビを加えて赤くなったらとりだして、別にしておく。
次いでブランデ−とワインを入れてアルコ−ルを飛ばす。このブイヨンに、エビの殻、パセリ−、ローリエを加えて、焼く1時間ほど弱火で煮る。これらを濾してス−プにする。米は別に柔らかく煮ておき、最後に塩・コショウ、フィノ・シェリ−、すりつぶしたニンニクを加えて火を止める、別にしておいたエビの身をほぐして皿に盛り、温かい中に供する。
(文献: Maria Horvath:Spanische Kuche:Sopa de
gambas,18,1964,im Wilhem Heyne Verlag, Munchen Germany)

(続く )

   

渡辺 正澄 プロフィール>

農学博士(京大)、ワイン総合研究所 代表取締役社長、ワインマスター研究会 代表。
山梨大学工学部応用化学科卒。ドイツ・スペイン国際学会等でワインと料理の相性や醸造学などの学術研究を発表。著名な日本のエノロジストの一人として評価される。
国際ワイン醸造経営協会日本理事、社団法人 日本ソムリエ協会名誉ソムリエ。
1978年、日本醸造協会技術賞 受賞。著書に「ワインと料理の相性ピタ・ピタ講座」 「ワインの常識がガラリと変わる本」「ヨーロッパワイン美食道中」などがある。


   
バックナンバー 
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