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ワイン総合研究所  渡辺 正澄
 


この8月にドイツへ出かけた。目的は、夏の終わりから秋の始めにかけて、ドイツのワイン産地で行われるヴァインフェスト(ワイン祭り)の仕組み(運営方法)、ワイン醸造所の視察と最新の醸造技術の調査、近頃人気上昇中の日本料理店やドイツワインの居酒屋の料理とワイン、それに居酒屋や祭りの雰囲気などを体感することだった。
ところが、偶然か天神様のお導きか、上記の目的以外に、大事な愉快な発見が、デ・デ・デ−ンと現れたのだ。宿泊したホテルの朝のバイキングの料理がそれ!ライン河沿いのそのホテルの窓際に席をとり、料理を取りに行くと、おいしそうな北欧名物のニシンの酢漬けのキュ−リのピクルス・ケィパ−・ディル風味の一品、サ−モンの燻製、生ハム、ヨ−グルト、名物の乳酸発酵をさせた黒パンなど・・・。 それらのうちで、どれが中性脂肪の低下に効果があるのかな?昨年のブルガリア経由でドイツに滞在したときは、毎晩、各国のシュニッツエル(トンカツ料理)を食べたために、帰国後の血液検査で中性脂肪が正常値の10倍にもなり、医者に叱られた。そのため、今回は、中性脂肪が蓄積されそうもない食材を朝食に選ぶことにした。その食材と思われるニシンの酢漬け巻き(ロ−ルモップス)や燻製のサ−モンが、ホテルの朝のバイキングにあったから愉快だ。ちなみに、ニシンとサ−モンの健康効果(機能性)を、調べてみると下記のようである。

    ニシンやサ−モンの健康効果(機能性)

ニシンには、 EPA(エイコサ・ペンタエン酸)や DHA(ドデカ・ヘキサエン酸)などの含有量が、イワシやサンマよりも多い。 EPA は摂取することで血中の中性脂肪を減らし、さらに血中のコレステロール値を下げる。 DHA は脳梗塞やアルツハイマ−症の防止効果があり、生活習慣病の予防には、積極的に食べるとよいことが分かった。 eiyo-navi.com/encyclopedia/epadha.htm
それに、サ−モンには、認知症予防、血栓予防効果のあるDHAやEPAの多価不飽和脂肪酸や、疲労回復効果が期待されるアンセリン(アミノ酸)、体内の酸化抑制作用やガン予防の効果アスタキサンチン(サケ肉の色素成分)などが含まれている。 www.maruha-nichiro.co.jp/salmon/food/kako04.html

特に、日本ではあまり見かけない上記の酢漬けニシン(pickled herring)から作る Rollmops(ロ−ルモップス、図1 )と呼ばれる 前記の小料理は、毎朝欠かさず賞味した。これは、ニシン一匹の頭、骨、尻尾を除いた中身を縦に1 /2 枚ずつに分けて、 ヨ−ジで丸める。 その中に、小さなキュ−リのピクルス1つと4,5粒のケ−パ−が詰めてあった。このロ−ルモップスにヨ−グルトをぬりブル−ベリ−・ジャムをまぜて、酸味のある黒パンと 味わうとおいしかった。
図1: Rollmops
(Wikipedia)

     ニシンの酢漬け

ニシンの酢漬けは、ドイツでは Bismarck herring(Pickled herring) と呼んでいる。 作り方は、しめさばの作り方と似ている 。最初に、ニシンの中身の水分を引き抜く ために塩を振る。次に塩を除いて、 ヴィネガ−、 白ワイン、輪切りの生タマネギ、 コショウの実、ディル、 ベイリ −フ、砂糖などを付け加える。 (Wikipedia)

    ホテルだけではなかった居酒屋のニシンの酢漬け料理

リュウデスハイムのホテルから、5,6分離れたところに、ドイツワインの中心的な居酒屋街の”ドロッセルガッセ(つぐみ通り )“がある。その通りの真ん中あたりで夕食をした。
北緯50度のこのあたりは、夏は午後7時過ぎても、外はまだ明るい。居酒屋の野外レストラン(図2) に、席をとった。楽団が楽しいドイツのワイン・ソングを演奏していた。
料理のメニュ−を見て、 ニシンの酢漬けのマヨネ−ズ・ヨ−グルド・リンゴのソ−スにポテトと野菜添えの料理(図3 )を、味わうことができた。ニシンは頭を除いてあった。ソ−スはマヨネ−ズとヨ−グルドに、 小さく薄く切ったリンゴを混ぜて塩・コショ−・ディルで風味を整えてあった。 さらにソ−スの上に輪切り の紫タマネギとスプラウトをかざる。
この料理は、楽団のワイン・ソングに聞き惚れながら、辛口のリ−スリングと華やかな気分で合わせることができた。それに、マヨネ−ズ・ヨ−グリド・ソ−スに混ぜた薄切りのリンゴは、冷たくなると渋くなる乳酸をまろやかな味わいにした。さらにリンゴの芳香は、リ−スリング・ワインの香りを一層引き立てた。その上、楽団演奏が、よけいに気分を楽しくさせる。丁度、楽団の歌手が、下記の懐かしい曲を歌っていて思わず感動した。 ♪〜So ein Tag Wunder schoner wie heute〜♪(ゾ−・アイン・タ−ク・ヴンダ−シェナ−・ヴィ ホイテ = あの日のように、今日もスバラシイ〜)

   

図2:リュウデスハイムの居酒屋の
屋外レストラン

図3:塩・酢漬けヘリング(ニシン)のマヨネ−ズ・ヨ−グルド・リンゴのソ−スに、ポテトと野菜添え

     冷凍ニシンのワイン漬けの入手と調理

帰国後、北欧産のニシンの瓶詰と冷凍品をネットで検索。 どうにか目的に近いパック入りの「冷凍ニシンのワイン漬け」 を入手できた。手間のかかる 皮むきも小骨もなく、一パック6匹分で一匹を2枚に分けてあったので食べやすい。天日での干物を作る要領で、秋の晴天の朝(気温23℃)の太陽に、この冷凍パックを大皿に載せて溶かす。
パックの内部が解け始めたとき、取り出して皿に並べて皮側と腹側を一度だけひっくり返す。この後、ニシンの身の内部が解ける寸前に、大皿に載せたままキッチンに運ぶ。すぐにポリパックに、ニシンを移し変えて、市販のすし酢(ミツカンのこんぶ風味)の適量とショウガ汁を加えて、ニシン全部が浸る程度にマリネして冷蔵庫に入れる。ショウガはニシンの臭味を優雅に消すと共に、ニシンの風味を上品にさせる。 マリネ後、 2時間位でおいしくなる。これを“ショウガ風味の酢漬けニシンと呼ぶことにする。この酢漬けは冷蔵庫で1週間くらい保存できる。

    ショウガ風味の酢漬けニシン・リンゴ・キュウリの斜め薄切りのサラダ(4人前)

ショウガ風味の酢漬けニシン2匹分(4枚)をそれぞれ、2センチの厚さの斜め切り、 リンゴも、切ったニシンの大きさに切り分ける。キュウリも切り分けたニシンの大きさの斜め薄切りにする。切り分けたリンゴとキュウリに、上記のすし酢とオリ−ブ油を適量かけて一味唐辛子を適量振って混ぜる。暫く冷蔵庫に入れて出来上がり。このほんのりと甘酸っぱいニシンのサラダに合うワインは、やや甘口のムスカットやムスカット・オットネルそれに甘口のバブル・スパ−クリング・ワインなど・・・合わせるワインによって、味覚は変わるが、心が温まるような相性は同じ。スパ−クリング・ワインは、その炭酸ガスによって、口中での料理との相性を素早く一致させる。なお、一味辛子を加えたのは、ワインのタンニンに合わせるため。この場合コショ−、ニンニク、ワサビでもよい。これらの刺激味は、ワインのタンニンとの相性がよい。また、オリ−ブ油も刺激味を和らげる。

                 
   
    ショウガ風味の酢漬けニシンの手まり鮨を、白と赤のワインで合わせる

少し硬めに炊いた熱々のご飯に、すし酢(80%)とレモン汁(20%)の割合で、すばやく適量加えて、すし米を作る。酢漬けニシンの半身を三つ(長さ約6センチ)に切り 分ける。皿の上にポリラップを敷き、その上に切り分けた酢漬けニシンの一つを、背をラップ側に置く。ニシンの上にはワサビ少々塗る。この上にすし米を載せる。(すし米は、あらかじめ、直径3センチ位の大きさにラップで丸く固めてからラップを除く)。酢漬けニシンとすし米はポリラップで丸くかためて出来上がり。すし酢以外にレモン汁を加えたのは、後で合わせる辛口白ワインの酸味(冷旨系)に調和させるため。レモン汁中のビタミン C の効果で、酢漬けニシンの手まり鮨に新鮮さが秘められる。 タレは、醤油(50 %)+すし酢(30%)+レモン汁(20%)の割合で作る。
さらに、ワインのタンニン(渋味)を考慮して、ワサビもチョッピリ混ぜておく。なお、この手まり鮨はやや甘味があるので、合わせるワインもやや甘口のムスカットやムスカット・オットネルを冷やして供する。酢漬けニシンの手まり鮨に、このタレを少し浸けて食べてみる。と? なんとサバ鮨に似ていておいしい! 昔、京都は祇園の「いずう」のサバ鮨の味を想い出してしまうでは、ありませんか!(笑) そして、 イヨ〜! ブルガリアのやや甘口白のムスカットやムスカット・オットネルと合わせてみた。 ス〜バラシイ! ナズドラベ! ♪ この手まり鮨に、 ワサビ醤油のタレ(醤油50%+レモン汁50%+ワサビ)を浸けると、赤のメルロやカベルネ・ソ−ヴィニヨンにピタ・ピタだ! ワサビはタンニンの多い赤ワインとの相性は大変よく、また醤油には乳酸が多いので乳酸のある赤ワインには合い易い。 ワサビの効果は偉大である。

                 
   

渡辺 正澄 プロフィール>

農学博士(京大)、ワイン総合研究所 代表取締役社長、ワインマスター研究会 代表。
山梨大学工学部応用化学科卒。ドイツ・スペイン国際学会等でワインと料理の相性や醸造学などの学術研究を発表。著名な日本のエノロジストの一人として評価される。
国際ワイン醸造経営協会日本理事、社団法人 日本ソムリエ協会名誉ソムリエ。
1978年、日本醸造協会技術賞 受賞。著書に「ワインと料理の相性ピタ・ピタ講座」 「ワインの常識がガラリと変わる本」「ヨーロッパワイン美食道中」などがある。


   
バックナンバー 
(1)牡蠣とワインの相性(2)牛しゃぶとワインの相性(3)カツオとワインの相性 (4)タコのサラダとワインの相性(5)ホタテのカルパッチョとワインの相性(6)桃のフルーツサラダとワインの相性-1(7) 桃のフルーツサラダとワインの相性-2(8)梨のフルーツサラダとワインの相性(9)カジキマグロとワインの相性 (10)お正月料理とワインの相性(11)湯豆腐とワインの相性(12)サバとワインの相性 (13)イチゴのサラダとワインの相性 (14)新緑の料理とワインの相性 (15)夏の組み合わせ料理とワインの相性 (16)各国のカツレツ料理とワインの相性−1 (17)各国のカツレツ料理とワインの相性−2(18)ココナッツオイルを使った料理とワインの相性 (19)アヒージョとワインの相性I (20)アヒージョ とワインの相性II (21) スルメイカとワインの相性(22) エビの料理とワインの相性(23) 酢漬けヘリング(ニシン) とワインの相性 (24) スモ−クサ−モンの料理とワインの相性(25) ヨーグルト入りソースと とワインの相性 (26)ヨーグルト入りソースと ブルガリアワインの相性